自在

しなやかに、
空間と響きあう。

「自在」は、竹定商店が手がけるインスタレーションシリーズ。
竹本来のしなやかな弾性を活かし、空間の中に自然な曲線と流れを生み出します。
竹材はすべて職人の手によって丁寧に割られた「平割竹」を使用。
柔らかくも芯のあるその素材感が、天井や壁面をまるで呼吸するかのように演出します。
このインスタレーションは、Franz Oliver氏による完全オーダーメイドのデザイン。
設置される空間の特性に合わせて一点一点設計され、その場にしかない“しなり”の造形が生み出されます。
「自在」は単なる装飾ではなく、空間に新たなリズムと余白をもたらす“構造体”。
商業施設や展示空間、ホテルロビーなど、訪れる人の記憶に残る存在感を放ちます。

Case Study No. 1 —
Jizai at
KYOTOGRAPHIE 2015

Ephemeral Site-Specific
Bamboo Installation

2015年に京都で開催された国際写真祭 「KYOTOGRAPHIE」のために、私たちは空間の特性と展示テーマに応える、竹の大規模インスタレーションを制作しました。
会場は、祇園白川にある改修前の町家。解体によってあらわになった木造の骨組みは、時代の狭間にあるような佇まいを見せ、私たちにとってはキャンバスであり、共演者でもありました。
使用したのは、長さ12メートルの青竹約300本。柔らかくしなる割竹を現場で一本一本試しながら曲げ、空間のサイズや素材の自然な動きに合わせて造形しました。

竹は、約25本ずつの束となって床の間から放射状に広がり、梁や構造体に絡むように展開。建物がもつ「移り変わり」という状態を、そのまま形にしたかのようです。竹の束は、伝統的な竹垣づくりに使われる黒染めの麻縄で結び、空間に静けさと緊張感をもたらしました。
流れるようなこの造形は、同時に展示されていたフォスコ・マライーニの写真 ― 海中に潜る海女たち ― と響き合い、水中の動きや呼吸を想起させます。
素材、記憶、そしてテーマが一体となった、静謐で詩的な空間が生まれました。

顧客: KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭
場所:京都市内
サイズ:W5×D8×H3m

Case Study No. 2 —
DICE Hiroshima

Site-Specific
Bamboo Installation

高級キッチンブランド「キッチンハウス」の広島ショールームに設置された、常設の竹インスタレーションです。
ショーキッチンの背面に合う背景として、床と天井に取り付ける特注のスチール製フレームを設計・製作。そのフレームに、約100枚の割竹を横一列にフラットに並べ、少しずつ間隔をあけて取り付けました。竹のスクリーンは、室内空間と窓の外に広がる広島の街並みをやさしく区切りながら、カウンターの存在感を引き立てています。

高さ約150cmの位置からは、竹が波のようなキャノピーへと連続し、7本の緩やかな曲線を描きながら空間に動きを加えています。竹の自然なカーブを活かしつつ、金属フレームにしっかりと固定され、見た目のリズムと構造の安定感を両立させています。 使用している竹は、細かい黒い斑点模様が特徴の「胡麻竹」。空間に独特の質感を与えています。照明も綿密に設計され、竹の質感や影が美しく浮かび上がるよう工夫されています。

顧客: キッチンハウス広島ショールーム
場所:広島市内
サイズ:W2.2×D3×H2.5m