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竹建材のメリットとは
竹が見直されている理由 ここ数年、「竹を内装に使いたい」という相談を受ける機会が増えました。 以前は「割れやすい」「扱いづらい」と言われ、木材や金属に比べると敬遠されることも多かった素材ですが、加工技術の進化で注目の高まりで、竹が再び建材の世界に戻ってきています。 竹は自然の中で驚くほどのスピードで成長します。 多くの樹木が20〜30年かけて育つのに対し、竹はわずか3〜5年で伐採できるほど。 それでいて、何度切っても根が残る限り自ら再生を繰り返す。 まさに「循環型の素材」と言えます。 しかも竹は成長の過程で二酸化炭素を多く吸収するため、環境負荷の少ない“グリーン建材”として世界中の設計者から注目を集めています。 柔らかく、空間を包み込む質感 竹を室内で使うと、空間の空気が少し変わります。 たとえば照明の光を受けた竹の表面には、やわらかな陰影が浮かび上がる。 それは木材よりも少ししっとりとしていて、人工素材には出せない「呼吸するような質感」があります。 竹は繊維がまっすぐ通っていて、しなやか。 だから、曲線を生かした意匠やアーチのデザインにも向いています。 ルーバーや格子を緩やかに曲げながら並べると、見る角度によって光の入り方が変わり、まるで空間そのものが生きているよう。 その独特の“ゆらぎ”が、見る人に安心感や落ち着きを与えます。 デザインを派手に見せなくても、素材そのものが語ってくれる。 それが竹の良さです。 和でもモダンでも溶け込む素材 竹というと「和風」「旅館」というイメージを持つ方が多いかもしれません。 でも、実際に店舗やホテルで使ってみると、モダンデザインとの相性の良さに驚かされます。 たとえば、ガラスやステンレスなどの無機質な素材と組み合わせると、竹の自然な風合いが全体のバランスをやわらげてくれる。 一方で、コンクリートやモルタルと合わせると、光沢のある表皮が空間に温度感をもたらします。 竹は「主張しすぎないけれど、確実に印象に残る素材」。 空間に一部取り入れるだけでも、雰囲気がぐっと変わります。 最近では、住宅のリビング壁面や、飲食店の間仕切り、ホテルのロビー装飾などに使われることが増えてきました。 メンテナンス性と衛生面にも優れる 竹は意外とメンテナンスが楽です。 表面が緻密で汚れが染み込みにくく、日常の掃除も乾拭きで十分。 経年変化も“味”になる素材 竹は時間が経つと少しずつ表情が変わります。 長年使い込まれた竹の天井や柱には、どこか人のぬくもりのような美しさがあります。 “使えば使うほど空間がやわらかくなる素材”―― それが竹建材の最大の魅力だと思います。 素材に“語らせる”空間づくりを 竹建材の魅力は、スペックの数字だけでは語り尽くせません。 自然のリズムや光の揺らぎ、人が手で触れたときの温もり―― そうした感覚的な価値が、空間の印象を決めることもあります。 環境にもやさしく、加工技術も進化し、そして何より「空間に心地よさを生む」素材。 それが、今改めて竹が選ばれている理由です。 もし次の設計で「どこかに自然の温もりを加えたい」と感じたら、ぜひ竹建材を選択肢に入れてみてください。 空間がやさしく変わるのを、きっと実感できるはずです。/竹定商店スタッフ -
黒塗装の犬矢来を函館市へ──伝統と現代が調和する竹の外構デザイン
黒塗装を施した犬矢来(いぬやらい)を製作いたしました。今回の製品は、北海道・函館市へ郵送いたします。 犬矢来はもともと京都の町家で、外壁や建物の基礎部分を守るために設けられた竹の囲いです。しかし近年では、その美しい格子のデザイン性や自然素材ならではの風合いが評価され、京都以外の地域でも多く採用されています。住宅や店舗、旅館など、和モダンな外構デザインを演出する要素として注目を集めています。 黒塗装を施すことで、竹本来の質感を残しつつも、モダンな印象を与える仕上がりに。落ち着いた黒のトーンが建築外観に深みを加え、夜間照明との相性も抜群です。また、塗装によって防腐性・耐久性も高まり、屋外での使用にも安心です。/井上 定治 -
酒樽づくりを支える「輪竹(わだけ)」製造の最盛期を迎えています
竹定商店では現在、酒樽のタガ(輪竹 わだけ)の製造が最盛期を迎えています。輪竹は、酒樽の胴部分をしっかりと締め、樽の形状を保ち、密閉性を高める重要な部材です。 見た目の美しさはもちろん、強度と柔軟性を兼ね備えた竹の特性が求められるため、一本一本を職人が丁寧に選別・加工しています。 年間では約10,000本もの竹を使用し、主に京都と秋田の製樽業者様へ納品しています。節の位置や厚み、曲がり具合に至るまで細かく選定し、酒樽づくりに最も適した品質に仕上げています。 日本の伝統酒文化を支える酒樽。その裏側には、竹職人の繊細な手仕事と、自然素材である竹のしなやかな力が息づいています。 ちなみに、「タガが外れる」ということわざの“タガ”とは、この輪竹のこと。竹が緩めば樽が崩れるように、気の緩みを戒める言葉として今も使われています。/井上 定治 -
京都市内の店舗に黒塗装された犬矢来を納品しました
京都市内の店舗に 黒塗装を施した竹製の犬矢来を納品いたしました。犬矢来は、町家や和風建築の外構デザインに欠かせない伝統的な竹垣の一種で、建物の外観を美しく保ちながら、泥はね防止や防護の役割を果たします。 今回は、街並みに調和するデザイン を求めるクライアントのご要望に応じ、竹を黒色に塗装。塗装によって意匠性が高まるだけでなく、耐久性も向上し、長期間にわたり美しい状態を維持できます。 近年は、伝統的な犬矢来を現代的にアレンジして店舗や住宅に採用されるケースが増えており、外構やファサードのアクセントとしても注目されています。/井上 定治 -
白竹ひしぎパネルの製作について
白竹ひしぎパネル を製作いたしました。ひしぎ加工とは、竹の身の部分を専用の刃物で細かく叩き割り、シート状にする伝統的な技法です。 古くから町家の壁面装飾に用いられてきたもので、竹ならではの柔らかい表情と自然な風合いが特徴です。 今回のパネルは、ベニア板に白竹ひしぎを貼り付ける仕様とすることで、施工性を高め、住宅・店舗・商業施設など幅広い空間デザインにご活用いただけます。竹素材の持つ自然美を引き出しつつ、現代建築にも取り入れやすい仕上がりとなっています。/井上 定治 -
枯れ竹を使った井戸蓋の製作 – 時代劇撮影用の特注品
枯れた竹を使用した井戸蓋(井戸の上に被せる蓋)を製作しました。通常、井戸蓋には青竹を使用することが多いのですが、今回は時代劇の撮影でリアルな風合いを出すため、あえて枯れ竹を採用しています。 自然に枯れた竹は、青竹とは異なる落ち着いた色味と質感を持ち、時代劇や舞台セットに独特のリアリティを与えることができます。 そのため、当社では映画やドラマなどで使用される竹のご注文も多く、撮影用に枯れ竹を常時保管しております。 竹定商店では井戸蓋だけでなく、竹垣・小道具など、映像制作や舞台美術に必要な様々な竹製品を製作しています。/井上 定治 -
薄煤染竹で製作した特注の鞄掛け
薄煤色に染めた竹を用いた特注の鞄掛けを製作しました。今回の鞄掛けは、京都市内にある老舗の鞄屋さんにて、商品ディスプレイ用什器として採用いただいたものです。 竹の自然な質感に煤染の落ち着いた色味を合わせることで、上質で温かみのある雰囲気を演出しています。鞄を掛けるだけでなく、空間そのものに竹ならではの柔らかさと存在感を与えるのが特徴です。/井上 定治 -
竹の伝統玩具「竹こっぽり」を製作しました。
昔ながらの遊び道具である竹こっぽりを製作いたしました。 竹こっぽりとは、小さなお子さま向けの伝統的なおもちゃで、竹を加工して作った踏み台の上に乗り、足で紐を引きながら歩いて遊ぶものです。素朴ながらも体を使って楽しめる竹のおもちゃは、日本の暮らしの知恵と遊びの文化を感じさせてくれます。 先人たちは竹をさまざまな形に活用し、生活道具から建材、そして子どものおもちゃに至るまで、多様なものを生み出してきました。 竹こっぽりもその一例であり、竹の強さと軽さを活かした身近な遊び道具として長く親しまれてきました。 今回製作した竹こっぽりは、京都市内のお土産店に納品させていただく予定です。 観光で京都を訪れる方にも、日本の伝統文化に触れられるお土産として手に取っていただければ幸いです。/井上 定治 -
シンガポール展示会レポート|竹定商店の竹インテリア
FIND Design Fair Asia 2025 出展レポート 竹定商店は、昨年に続きシンガポールで開催されたアジア最大級のインテリア展示会 「FIND Design Fair Asia 2025」 に出展いたしました。 今回の展示では、当社が誇る竹の内装材・壁面パネルを中心にご紹介。日本の伝統技術を活かしながらも現代的なデザインに仕上げた竹材は、インテリアデザイナーや建築家の皆さまから高い評価をいただきました。 会期中はシンガポール国内のお客様はもちろん、香港・マレーシアをはじめとする近隣諸国からも多くの方にご来場いただき、延べ200名以上の方々に当社ブースをご覧いただきました。特に、自然素材としての竹の魅力と持続可能性(サステナビリティ)に関心を寄せる方が多く、海外市場での竹の可能性を改めて実感する機会となりました。 竹定商店は今後も「竹の新しい可能性」を世界に発信し、建築・インテリア分野における竹材の活用をさらに広げてまいります。/井上 定治 -
孟宗竹の枝を使った「玉袖垣」
孟宗竹の枝を活用した竹枝玉袖垣(たまそでがき)を製作し、個人宅に設置させていただきました。今回の工事は、10年以上前に当社が納品した袖垣を新しくやり替えたものです。長年にわたり竹垣をご愛用いただけることは、私たちにとって大変ありがたいことです。 近年はお庭を持つ住宅が少なくなってきていますが、竹垣は日本庭園の風情を演出するうえで欠かせない存在です。孟宗竹ならではのしなやかな枝ぶりを活かした玉袖垣は、和の趣を大切にした庭づくりに最適です。 ちなみに「玉袖垣」の由来は、枝を丸く束ねた意匠が着物の袖に似ていることから名付けられたとされています。伝統的な竹垣の中でも優美な印象を与えるため、住宅の外構や庭園に広く用いられています。/井上 定治