京都の町家景観を守る黒い犬矢来
/井上 定治
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黒塗装の犬矢来を製作しました。
通常、犬矢来は青竹や白竹を用いることが多いのですが、今回は設置場所の街並みに調和させるため、竹を黒く塗装しています。水道メーターなどを隠す目的で設置するため、竹と竹の間に約10mmの隙間を設け、必要に応じて中が見えるように工夫しました。また、傾斜地に設置する予定のため、下部を斜めにカットして地形に沿わせています。
犬矢来は本来、犬の小便から壁を守るために設置されたことが名前の由来とされています。現在では京都の町家や路地に欠かせない景観要素として受け継がれ、街並みを彩る大切な意匠となっています。
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長野県で竹定商店オリジナルアートワーク「撓(しなり)」を施工|8m特注白竹による天井インスタレーション
長野県の某施設にて、竹定商店オリジナルの竹アートワーク「撓(しなり)」の施工を行いました。 今回の施工期間は3日間。 曲線を描く大規模な天井インスタレーションとして、空間全体に柔らかな動きと自然素材ならではの緊張感を与える仕上がりとなっています。 本作品に使用したのは、 幅20mm 長さ8mの平割白竹 計90本。 通常、建築用竹材の規格は4mが基本ですが、今回のデザインでは継ぎ目のない美しい曲線表現が求められたため、 京都・嵯峨野の自社竹林にて本プロジェクト専用に伐採を行い、8mの特注白竹材を製作しました。 竹の特性を最大限に活かす「撓(しなり)」構造 「撓」は、竹が本来持つ •繊維方向の強さ •曲げに対する復元力 •軽さとしなやかさ といった構造的特性を活かし、直線材でありながら有機的な曲面を構成する竹定商店独自のアートワークシリーズです。 今回の施工では、平割竹を連続的に配置し、天井から壁面へと流れるような曲線を構成。 一本一本の竹の反り、繊維の向き、節位置を見極めながら、現場で微調整を重ねて取り付けを行いました。 自社竹林から始まる一貫したものづくり 本プロジェクトの大きな特徴は、 •自社竹林での伐採 •湯抜き・天日干しによる白竹加工 •8m特注長尺材の製作 •曲げ加工・現場施工 までをすべて自社一貫で行っている点にあります。 一般流通しない長尺竹材や特殊寸法であっても、素材の段階から設計に合わせて対応できることが、竹定商店の強みです。 竹建築・竹インテリアの可能性を拡張する施工事例 今回の「撓」施工は、 •竹天井デザイン •竹アートインスタレーション •竹内装の構造表現 といった分野において、竹の新しい使い方を示す事例となりました。 竹は「和風素材」という枠を超え、現代建築や商業空間においても、構造美と自然素材の両立を実現できる素材です。 竹定商店では、設計段階から施工・構造検討まで含めたオリジナル竹造形のご提案が可能です。 大型アートワーク、天井造作、壁面インスタレーションなど、竹を用いた空間表現をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。/井上 定治 -
長野県にて竹内装の現場施工を行っています
現在、長野県にて竹材を用いた内装工事の現場施工を行っております。 竹の内装工事は、図面通りに進むことの方が少なく、現場では寸法の誤差や納まりの変更など、想定外の調整が日常的に発生します。 そのため私たちは、事前にあらゆる納まりや加工方法をシミュレーションし、現場でどのような状況が起きても対応できるよう、万全の準備を整えて臨みます。 自社で日頃から竹の加工・製作を行っているからこそ、 ・その場での微調整 ・寸法変更への即応 ・納まりに合わせた加工判断 といった柔軟な現場対応が可能です。 竹という自然素材は一本一本表情も癖も異なります。 その特性を理解し、素材と向き合いながら空間に最適な形へ仕立てることが、私たち竹定商店の内装施工の強みです。 長野県をはじめ、全国各地での竹内装・竹天井・竹パネル施工のご相談も承っております。/井上 定治 -
竹建築の外構と内装でつくる一体感
竹建築は、建物単体だけで完結するというより、外構と室内までを含めて一つの景色として成立していきます。 門まわりやアプローチ、隣地との取り合いなど、外側の要素を一枚の絵として整理し、室内に入った瞬間の印象も同じ方向で揃える。そうすると、外から内へ視線が移るときに、場面が途切れずにつながって見えます。 外では竹垣が境界の見え方をつくり、室内では竹の線や面が視界のまとまりをつくる。役割は違っても、線の方向や面の置き方といったルールが揃うことで、建物全体の表情がぶれにくくなります。 竹垣がつくる「境界」は、遮るより整える 竹垣は、強い壁のように区切るというより、景色の輪郭を置くための外構要素です。 視線を完全に止めるのではなく、竹の面と隙間のバランスで、見える量を調整していく。 外からの見え方を整理しつつ、庭側の構図も崩さない。その“ちょうどよい境界”をつくりやすいのが竹垣の特徴です。 竹垣の種類によって、見え方は大きく変わります。 建物の直線が印象的なら縦のリズムを揃える、庭の要素が多いなら背景になる面を置く、といった考え方で選定すると、外構全体の整理がしやすくなります。 竹垣の中でも、面で見せる建仁寺垣 竹垣の中でも建仁寺垣は、面としての見え方が特徴です。 割った竹を縦に並べて仕上げるため、線が揃い、竹肌の陰影が出ます。 面ができることで、建物の直線や軒のラインと並行する構図をつくりやすく、外構全体の輪郭が整理されます。 石・苔・下草など要素が多い庭でも、背景として面が入ることで、視線の焦点が散りにくい構成になります。 施工事例:京都市内の別荘に設えた青竹建仁寺垣 個人様が所有される別荘の庭園にて、青竹の建仁寺垣を施工させていただいた事例です。 青竹を用いた建仁寺垣は、竹肌の自然な表情と、淡く明るい色味が印象に残ります。 季節ごとに植栽の色が変わる庭の中でも、青竹の面が背景として立ち上がり、景色の見え方にまとまりが出ます。 建仁寺垣は、寺院や茶庭などで用いられてきた伝統的な竹垣の一つとされ、外側からの視線をやわらかく区切りながら、庭の輪郭を整える用途で選ばれてきました。 今回の現場でも、建仁寺垣の特性を活かし、外部からの視線をやわらかく遮りながらも、景観を引き立ててくれております。 青竹ならではの瑞々しさが、別荘の庭園をより一層引き立て、落ち着いた空間を演出します。 施工事例はこちら > 内装に入って完成する「竹建築」の佇まい 外構で輪郭を整えたあと、室内に入った瞬間の印象まで揃っていると、竹建築は内外が連続した景色として見えます。 内装で竹を取り入れる方法はいくつかあります。 たとえば、柾割竹を建具に採用してパーテーションとして使用する、天井に竹のラインを通して奥行きの方向を示す、壁面の一部を竹材や竹意匠で切り替えて面を置く、間仕切りに竹の格子を採用する、といった設計です。 ポイントは「見せる場所」と「背景に回す場所」を先に決めること。 入口からの見え方、座ったときに視界に入る範囲など、場面ごとに整理しておくと、竹の線や面が過不足なく収まりやすくなります。 施工事例はこちら > 内装も外構も、最後は「納まり」で見え方が決まる 竹垣は、離れて見ると一枚の面に見えますが、近づくと細かい部分が目に入ります。たとえば、柱の間隔、ラインがまっすぐ揃っているか、結び目の位置が揃っているか。 こうした部分が揃っていると、竹垣全体がすっきり見えます。反対に、結び目の位置がバラバラだと、面としての印象が散って見えます。 竹垣は竹を組んで面や線をつくるため、結び目の位置や竹の向きといった細部が目に入りやすく、仕上げの揃い方がそのまま見た目に表れやすいのが特徴です。 室内はさらに距離が近いぶん、継ぎ目のそろい方、見切りのライン、建具との取り合いなどが視界に入りやすくなります。 内外装を同時に考えるときは、外の竹垣で使っているリズムやラインの考え方を、室内側の意匠や納まりにも合わせていくと、全体の統一感がつくりやすくなります。 まとめ 竹建築は、外構で景色の輪郭を整え、内装で視界のまとまりをつくることで、内外がつながった佇まいになります。 竹垣は境界の見え方を組み立てる外構要素であり、室内の竹意匠は線や面の置き方で空間の表情を揃えるための要素です。 外構と内装を別々に考えるのではなく、線と面の方向性、見せる量、納まり方までをセットで整えていくことが、竹建築を一体として見せるポイントになります。 竹垣を含む外構工事はもちろん、内装の竹意匠まで含めてご相談いただけますので、ご計画の段階からお気軽にお問い合わせください。/竹定商店スタッフ -
「白竹づくりの第一工程|昨年伐採した竹の湯抜き(脱色)作業を開始しました」
年末に伐採した竹の湯抜き(湯通しによる脱色処理)作業を開始しました。 湯抜きは、竹に含まれる糖分や油分を抜き、青みを落として美しい白竹へと仕上げるための重要な工程です。 主に建築用竹材や庭園用の竹垣、内装材として使用される白竹は、この工程を経ることで色ムラが少なく、経年変化も安定した素材になります。 当社では毎年この時期から4月頃まで、昨年伐採した青竹を順次湯抜きし、天日干しによる自然乾燥を行っています。現在はまだ鮮やかな緑色ですが、天日で乾燥させることで、約1〜2ヶ月後には淡いクリーム色の美しい白竹へと変化していきます。 この白竹は、竹垣(建仁寺垣・光悦寺垣など)をはじめ、天井材、壁材、ルーバー、装飾材など、建築・エクステリア・インテリアの幅広い用途に使用されます。 自然素材ならではの風合いと、日本建築に欠かせない上質な表情を引き出すため、一本一本丁寧に加工・乾燥を行っています。/井上 定治 -
青竹の光悦寺垣を製作しました|伝統意匠の竹垣を現代空間へ
このたび、青竹を用いた光悦寺垣(こうえつじがき)を製作いたしました。 光悦寺垣は、京都・光悦寺に見られる意匠をもとにした格式ある竹垣の一種で、斜め格子と弓なりの笠木が特徴的な、優美でリズム感のあるデザインです。 使用したのは、瑞々しい色合いが美しい京都産の青竹。節の位置や太さを揃え、割竹の角度や間隔を細かく調整しながら、伝統技法に則って一本一本丁寧に組み上げています。結束には銅線と棕櫚縄を用い、構造強度と意匠性の両立を図りました。 光悦寺垣は、単なる目隠しとしてのエクステリア用竹垣ではなく、庭園や建築空間の「景」として成立する意匠性の高い竹工作です。和風建築はもちろん、旅館・料亭・ホテル・現代建築の外構デザインにおいても、自然素材ならではの柔らかさと品格を演出します。 青竹は経年とともに飴色へと変化し、時間の経過とともに表情を深めていく素材です。完成した瞬間がゴールではなく、風雨や光を受けながら育っていく「生きた建材」であることも、竹垣ならではの魅力と言えるでしょう。 竹定商店では、光悦寺垣をはじめ、建仁寺垣、御簾垣、四ツ目垣など、各種伝統意匠の竹垣製作を設計者・施工者の皆様と協働しながら一点一点オーダーメイドで製作しております。 和風庭園から現代建築まで、空間に最適な竹垣のご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。/井上 定治 -
新年のご挨拶|嵐山の竹林とともに迎える2026年
新年あけましておめでとうございます。 本年も何卒よろしくお願いいたします。 新年最初の写真は、京都・嵐山にある当社保有の竹林の風景です。 冬の澄んだ空気の中、まっすぐに伸びる孟宗竹の間から夕陽が差し込み、 竹林全体がやわらかな光に包まれていました。 この竹林は、建築・内装・エクステリア用の竹材として使用する竹を育て、 日々管理している大切な場所です。 伐採・選別・加工までを一貫して行うことで、 安定した品質の竹素材を建築や空間デザインに提供しています。 嵐山の竹林は観光地としても知られていますが、 私たちにとっては「竹と向き合う原点」であり、 素材としての竹の可能性を考え続ける場所でもあります。 2026年も、 竹を活かした建築素材・内装材・エクステリア素材を通じて、 設計者やデザイナーの皆さまと共に、 魅力ある空間づくりに取り組んでまいります。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。/井上 定治 -
2026年1月施工に向けて|オリジナルアートワーク「撓」に使用する特注8mの白竹を準備しています
2026年1月の取り付け作業に向けて、 当社オリジナルアートワーク「撓(しなり)」に使用する白竹の準備**を進めています。 今回使用する白竹は、通常規格である4mではなく、特注の8mサイズ。 長尺竹を用いた表現は施工・管理ともに難易度が高く、 その分、空間に与えるインパクトと緊張感は非常に大きなものになります。 白竹8mは完全特注|伐採から完成まで半年以上 白竹は、青竹を伐採後、 火炙り・乾燥・天日干しなど複数の工程を経て仕上げていきます。 特に今回のような8mの長尺白竹の場合、 •伐採時期の選定 •割れ・反りを防ぐための乾燥管理 •運搬・保管時の取り扱い すべてに通常以上の注意が必要となります。 そのため、竹の伐採から白竹として完成するまでに半年以上を要し、 本プロジェクト専用として、一本一本を専用管理しています。 作品の完成度を左右する「素材準備」という工程 アートワークや建築用の竹材は、 施工直前の作業だけで完成度が決まるわけではありません。 むしろ、 どの竹を選び、どのように時間をかけて準備してきたか その積み重ねが、最終的な仕上がりに直結します。 「撓」という作品名が示す通り、 竹が持つしなやかさ・緊張感・自然な曲線を最大限に引き出すため、 素材づくりの段階から妥協なく取り組んでいます。 竹の可能性を、空間表現へ 長尺白竹を用いたアートワークは、 設計・施工・素材管理のすべてが揃って初めて成立します。 2026年1月の取り付け作業に向け、 引き続き万全の状態で準備を進めてまいります。/井上 定治 -
年末恒例|竹職人が手がける角松の製作・納品が最盛期を迎えます
毎年年末になると、正月を迎えるための角松(かどまつ)のご注文・納品が一気に増えてきます。 角松は、新年に年神様を迎えるための日本の伝統的な正月飾りであり、 使用する竹の質・切り口の美しさ・全体のバランスによって印象が大きく変わります。 竹の選定から仕上げまで、すべて職人の手仕事で角松に使用する竹は、太さ・節の位置・色味を一本一本確認しながら選定します。 切り口(斜め切り・寸胴切り)も用途や設置場所に応じて調整し、 松や葉牡丹などの植物との組み合わせも含め、全体の佇まいを意識して仕上げています。 特に年末は、 •旅館・ホテル •商業施設 •企業のエントランス •神社仏閣・店舗 など、設置場所ごとに異なる仕様の角松を多数製作・納品させていただいております。 年末限定の製作だからこそ、作り置きはできません。 角松に使われる青竹は時間とともに色味が変化するため、基本的に作り置きはできません。 そのため、ご注文に合わせて必要な分だけを製作し、最適なタイミングで納品しています。 この「手間のかかる工程」こそが、 新年を迎える空間にふさわしい、凛とした竹の表情につながっていると考えています。 竹を通して、新年を迎える空間づくりを 角松は単なる装飾ではなく、 日本の文化・季節感・空間の格を伝える大切な存在です。 毎年多くのご縁をいただき、 年末に角松を納品させていただけることを、職人一同ありがたく感じております。 正月用の角松や竹製品をご検討の際は、 ぜひお気軽にご相談ください。/井上 定治